今日はダメな日 2
なんだよ。
やめろよ。
どうしたんだよ。
畳の上で仰向けになったまま身体が全く動かなくなった。
次第に動かそうという気力までもが失われて行く。
直ぐに分かった。、、、、あいつが来た。
このまま天井を見上げて全身の力を抜いていく。すると次第に身体の一部が灰色の粘性を帯びた液体に変化し、徐々に全身が溶けていく。
溶けた身体は畳の縫い目の僅かな隙間から下に流れ落ちて行く。
身体だけじゃない、心、魂までもが灰色の液体になり溶けて落ちて行く。
落ちた先は床下みたいな平和な場所じゃない。想像出来る闇を更に濃くした暗闇。
地獄なんかじゃない。地獄はこの世界。更に下にある深い、不快、暗闇だ。
この暗闇には幾つかの種類がある。
俺が今までで一番、不快暗闇を経験したあの時よりはまだ明るい。だが地獄よりはもっと暗い場所。
ここから抜け出す方法を俺は知っている。
ただ何もしない事。
だが、溶けた心は一生懸命地獄に這い出て来ようとする。
しかしもがけばもがくほど、液体は粘性を増していき、次第には固まってしまい暗闇から戻って来れなくなってしまう。
何もしない。何も感じない。
そうすると心の液体は粘性を失っていきどんどん下に落ちて行く。落ちる速度は次第に上昇していき、周りの暗闇が気にならなくなる。
そして気付いたら自分の身体は畳の上にあり、心も魂も自分の中に入っている事に気付く。
落ちに落ちた俺は一巡して畳の上に戻ってきたんだ。
ただ俺の場合は粘性が高い為、中々早く落ちていかない。
落ちた方が楽なのに。
分かってるのに。